


越前ガニとは?
正式なブランド名称は「越前かに」
正式なブランド名称は「越前かに」ですが、ここでは分かりやすいように通称である「越前ガニ」と呼ばせてもらいます。そもそも越前ガニは、カニの種類の一つだと思っている人も多いかもしれませんが、実際は福井県の漁港に水揚げされる雄のズワイガニのことで、いわばブランドとしての名称なんです。
カニの特徴として、水揚げされる漁場によってその風味が異なることから、同じズワイガニにも関わらずそれぞれの県で独自の名称が付けられています。
例えば石川県では「加能かに」、兵庫県では「松葉かに」といったように様々ですが、中でも越前ガニはこれらズワイガニのブランドの中でも別格の存在感と知名度を誇っています。
越前ガニの歴史や他のカニとの違い
越前ガニの歴史
松葉かにや加能かにも当然立派なズワイガニで美味しいカニですが、越前ガニはその歴史の深さから別格です。
古くは16世紀後半の安土桃山時代、現在の福井県若狭湾の沖合で、全国に先駆け深い海での漁が行われるようになりました。
当初はカレイなどの海底に生息する魚を獲ることが目的だったようですが、その漁の過程で今でいうズワイガニが水揚げされるようになったと考えられています。
その後、江戸時代中頃には食用として広く広まるようになり、当時の越前松平藩が幕府への献上物として、越前ガニを献上していたと見られる記録も残っています。
明治時代になると、皇室への越前ガニの献上が始まっていくのですが、その始まりは明治42年で、当時の県知事が越前町で水揚げされた越前ガニを直々に持参し、皇室に献上したと記録されています。
その後も現在に至るまで、ほとんど途切れることなく越前ガニは皇室に献上され続けていますが、全国各地でズワイガニのブランドが種々確立されていく中、今でも皇室へ献上されているカニは越前ガニだけで、日本におけるズワイガニの王者たる位置を保ち続けています。
越前ガニの見分け方

越前ガニの証のタグ
越前ガニと他のカニを区別するには、爪の位置に「黄色いタグ」がついているかを確認してみてください。
1997年に越前町漁業協同組合が、オスのズワイガニに黄色いタグをつけるようなったことから始まり、今ではメスのズワイガニ(せいこガニ)も含め全てに黄色いタグがつけられています。それに伴い、他のブランドズワイガニでも同じようにタグがつけられるようになり、松葉かに(兵庫県)が青、加能かに(石川県)が薄青となっています。
どうして越前ガニは美味しいの?
恵まれた水質環境

越前ガニ漁が盛んな三国の漁港
越前ガニの漁場である日本海はズワイガニの生息域である水深300mくらいから、水温0℃〜1℃、塩分濃度34.1%程度のほぼ均質な水となっている「日本海固有水」と呼ばれる特徴的な水質を持っています。
さらに福井県の沖合は暖流と寒流がぶつかる海域の為、栄養塩が多い冷たい水と表層の暖かい水が複雑に混ざり合うことで植物プランクトンが豊富になります。これによりカニだけでなく魚介類の生育に最適な環境になっているんです。
豊富なえさと栄養豊富な海水に恵まれて育った越前ガニは、他のカニと比べ淡白さが少なく、甘みを強く感じられる上品な味わいに育つのです。
また、越前ガニの漁場となる越前海岸は浅瀬が短く、急激に深くなる海底になっている為、それほど遠くまで漁に出なくてもカニの生息地に到着できます。
それによって、引き揚げたカニをすぐに港に水揚げすることができ、元気な状態のまま競りにかけられることで、抜群の新鮮さを保っているのです。
美味しさを保つ職人の技
恵まれた環境だけでなく、その品質は越前ガニの流通に関わる職人たちの腕にかかっています。
本来ズワイガニはとてもデリケートな生き物で、美味しさのためには素材の鮮度、徹底した管理方法、熟練の茹で方のどれか一つでも欠けてしまうと、たちまち味が落ちてしまいます。
特にカニは茹で加減が非常に難しく、越前港周辺の地域には「カニ見十年、カニ炊き一生」という言葉が伝わっているほどです。これは「カニの目利きには十年の経験が必要だが、カニを茹でる技術は一生かかって習得するものだ」という意味で、微妙な塩分濃度や茹で時間の違いで味が変化してしまう、越前ガニの炊き上げがいかに難しいものかをよく表しています。
ですので、同じ越前ガニでもどこから買うかでその品質は大きく変わります。福井県内の越前ガニを取り扱うお店の多くは、長年の経験を積んだカニ職人達が、確かな目利きと熟練の調理法で提供してくれるため、越前ガニはその品質を安定して保つことができ、長らくズワイガニの王者たり得ているのです。
越前ガニの旬
越前ガニの旬はいつ?
越前ガニは一年中いつでも新鮮なものを食べられる訳ではありません。
その生態と資源保護の観点から、毎年11月初旬から〜3月下旬までの期間しか水揚げがされていない為、新鮮な越前ガニが食べられるのは冬の時期だけです。
よってまさに越前ガニは冬が旬。冬といえば他の魚介類も旬を迎えるものが多いですが、越前ガニも例に漏れず、冬にこそその味わいの真価を発揮するのです。
「種類」によって違う旬

越前ガニの販売開始は11月

一般的に知られている越前ガニはオスのズワイガニで、その他にも福井県ではメスのズワイガニが「せいこガニ」と呼ばれ、古くから庶民の間で親しまれています。
せいこガニの漁期はオスの越前ガニより短く、11月初旬の解禁日から約2ヶ月間の間しか水揚げされていない為、全国規模では流通の少ない、貴重な地元ならではの逸品です。
せいこガニは雄の越前ガニと比べ体長は非常に小さく約25cm前後で、脚も細く短いため、一般的なカニと比べて身はあまり楽しめない代わりに、お腹の表面にびっしりついた「外子」と呼ばれる卵と、お腹の中にある「内子」と呼ばれる卵巣がなんとも言えない味わいで大人気。
外子はプチプチした食感とほのかな塩味が絶品で、内子はその濃厚な味わいで「赤いダイヤ」とも呼ばれるまさに珍味。
一度味わってしまうとやみつきになってしまう人も多いんです。

せいこガニ
また、2月下旬から水揚げされ、一部の地域では大人気の「水かに」も外せません。
水かには脱皮して間もない甲羅の柔らかいカニのことで、一般的なズワイガニと比べ身入りが8割程度と少ない為、身が殻から外れやすくとにかく食べやすく、身が簡単にズボっと抜ける様子から通称「ズボがに」とも呼ばれています。
一般的なズワイガニより味わいも少し水っぽく薄いため、一部の地域の人にしか知られていませんが、水かにの魅力はなんと言ってもその安さ。同じ越前港産のズワイガニでも、成熟した越前ガニと比べその価格はなんと1/4程度とまさに破格。
安くて子供でも食べやすく、その上しっかり美味しい水かには、地元で多くの人に愛され続けている逸品です。
越前ガニの美味しい食べ方


茹でた越前ガニ
越前ガニの最大の特徴でもある強い甘みを余すことなく堪能できるのが茹でガニです。
先にも述べたように、カニは茹で時間や塩加減が少し変わるだけでその風味が大きく変化してしまいます。
地元福井県で越前ガニを扱うお店の多くでは、熟練の職人が絶妙な塩加減で茹で上げているため、越前ガニの美味さが最大限に引き出されており、脚を一本贅沢に頬張ると、芳醇な甘みと香りが口いっぱいに広がります。


焼き越前ガニ
お次にこれも定番の焼きガニ。七輪の炭火でじっくり焼き上げることで水分が飛び、うまみがより一層凝縮されたカニの身を味わうことができます。本来の豊かな風味に加え、焼いたことにより香ばしさもプラスされ、越前ガニのより深い味わいを楽しめます。
一通り身を堪能した後は、蟹味噌の残った甲羅に日本酒を注いで熱燗に・・なんていうのも通な食べ方としてオススメです。


越前ガニのカニ刺し
そして希少なカニ刺し。
カニはその体内に海水を多く含んでいる為、鮮度管理が難しく、生で越前ガニを食べられるのは地元の限られたお店だけなんです。その味わいはもはや言葉にできないほど。
プリップリの食感に衝撃を受けたと思えば、追い討ちをかけるように甘みと旨みがほとばしり、骨の髄まで染み渡ります。
一度食べたら忘れられないこの世のものとは思えない味わいは、地元福井県でしか味わえない超絶品です。



注目
直送『越前逸品』で、待望の「越前ガニ」11月出品予定です!!乞うご期待!!